大会プロデューサー 田辺 慎一
いきなり自分の経験で恐縮ですが…
3 年前、本厄だからこそ何かチャレンジしようと始めたのが、トレイルランニングでした。 山道や砂利の林道など未舗装の道を走るのがトレランですが、トレーニングがてら起伏に富 んだ山間部の舗装路を走るようになりました。
冬も含めていろいろと違うルートを走っているうちに、気がつくと山間地域の新たな魅力 にどっぷりとはまっていました。
棚田の残る山間の集落。走るペースでこそ感じられるものがありました。
たとえば自然由来の肌感覚。葉陰の涼しさ・日向の温さに。草花その他の多様な匂いに。 せせらぎ、葉ずれの揺らぎ音に。そして野生動物の気配に。自然の豊かさに感動!感謝!
たとえばそこに暮らす人々の営み。道端で天日干しされている野草・山菜に。綺麗に手入 れされた田んぼの畔に。道々で出会う人たちのたたずまいに。人のたゆまぬ営みに感動!感 謝!
坂道ばかりの山間部ならではのハードなコース。自分の足で走ってこそ感じるものがあり ました。
たとえば延々と続く心折れそうな急斜面の登りに。後半に待ち受ける 10km 以上の走れ る下りに。今、この瞬間の辛さ、苦しさと向き合う時に。自分を支えてくれている大切な存 在に感謝!
たとえば思うように走れなかった時に。疲れや痛みを乗り越えられなかった時に。何かの せいにしたり言い訳したり。自分自身の弱さが悔しくてしゃーない!でも今の自分に感謝す ることがこれからの step up につながっていく…
アウトドアの視点で見ると…
山間地域はまだまだ活用できる資源の宝庫です。ただ走るだけの行為が、利便性や利己主 義とは別の普段は自分の中で眠っているモノサシを起動し、山間地域の真の豊かさを感じる 1 つのフィルターになると実体験してしまいました。
この山間地域を舞台に、とってもハー ドで旅をするようなマラソン大会を開催したら面白いなー、と。ワクワク!
妙高に集うよその若者たち!
また、教員をしているアウトドア専門学校の学生たちは、人材の宝庫。地域おこしの分野 では、よそ者、若者、バカものたちが各地で活躍していますが、よその(バカな?)若者た ちが集う、まさに稀有の場所となっています。
学生の 9 割以上が県外から、また約 5 割の 学生が社会人入学生で、10 代高卒のほかに 20 代〜60 代の多様な年代が在籍しており、元 保育士、元自衛隊、元県職員、元大手製造メーカーの敏腕営業マン、元…とキャリアの多様 性も笑ってしまうほどです。
ちなみに教員もほとんどが I ターンの転職者。この多種多様な 学生たちと教員がチームを組むと面白いことができそうだなー、と。ワクワク!!
日本の自然は知るほどに…
国土の約 7 割が山地山岳で、また約 7 割が森に覆われている日本。
山の国、森の国、水 の国、そして固有種豊かな生物多様性の国で、八百万の神々が住まう日本の自然は、知れば 知るほど遊びたおすほどに、その奥深さに感動し、日本に生まれたことに誇りをもち、感謝 の念を抱きます。
化石燃料は少ないけれど、大陸の東の果てにあるちっぽけな島国だけれど、 アウトドアの資源リッチな素晴らしい黄金の自然に囲まれた国「ジパング」なのです。
小さ い国土に多様な環境が詰め込まれた日本では、短い距離でめまぐるしく自然や景色、風土が 変わります。
あるく、走る、自転車をこぐといったスローなスポーツは、その人、その時、 その場所ならではの楽しみ方ができる、まさに日本の環境特性にドンピシャなアウトドアの スタイルです。ハマります。ワクワクワク!!!
目指すはツール・ド・妙高 100 マイルロードマラソン!
MURA18 は、最長コースで 55km。
日本有数のロングトレイルである信越トレイル 80km の主ルートが通る関田山脈の妙高側に広がる南部地域一帯をカバーしています。
ゆくゆくは、 妙高をぐるっと一周する 160km の大会にしたいなー、と夢想しています。
矢代地域、高原 地域、新井市街地域、7 つの温泉街を全部つなげると…ワクワクはまだまだ続きそうです! ぜひ一緒にワクワク楽しみましょう!
【執筆者】
田辺慎一 MURA18実行委員会・大会プロデューサー
北海道生まれ。帯広畜産大学山岳部出身。自然資本主義。
北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了(博士・地球環境科学)。
生態学の視点から、人と自然の関係をデザイン・提案することがライフワーク。
日本生態学会論文賞(2002年)、日本森林学会奨励賞(2006年)受賞。
登山、薪割り、自家菜園、山スキー、本厄の年に始めたトレランで runに目覚め、妙高の18の山間集落を駆け巡る超ハードな山岳ロードマラソン「MURA18」をプロデュース。
ULTRA TRAIL Mt.FUJI(富士山周辺の山々を160km走る日本最大のトレイルランニングレース)年代別1位経験有。
ボルネオ島のキナバル山(標高4,095m)を中心とした国際的な生態系観測プロジェクトに参画、現地集落に1年半ホームステイし長期滞在型テレワークを経験。
国際的な生物多様性観測プロジェクト(IBOY:International Biodiversity Observation Year)において、マレーシア、インドネシアでの生物調査、現地スタッフ対象の生物同定トレーニングコースのマネジメント・講師を担当。
ロシア、中国、韓国、日本の里山を対象とした生物多様性観測プロジェクト(SBOY:SATOYAMA Biodiversity Observation Year)を提案、共同研究を推進。
北海道大学低温科学研究所研究員、金沢大学自然計測応用研究センター21世紀COE研究員、総合地球環境学研究所共同研究員、十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロ研究員を経て現職。
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